教育訓練給付制度は、雇用保険に一定期間加入している方が利用できる制度。
厚生労働大臣が指定する対象講座を修了し、ハローワークへ申請することで給付金が支給されます。
「英語が喋れるようになりたい!」「英会話教室に通いたい!」と考えている方の中には、教育訓練給付制度の利用を検討している方も多いでしょう。
そこで今回は、2級FP技能士の資格をもつ筆者が、教育訓練給付制度の給付額・対象講座を解説します。
教育訓練給付制度とは
教育訓練給付制度は、厚生労働省が所管する雇用保険を活用したキャリア形成支援の一環として整備された公的制度です。受講希望者が自己啓発やスキルアップを目的とした講座を受講する際に、受講料の一部を国が負担し、経済的な負担軽減を図ります。
教育訓練給付制度は、専門実践教育訓練給付、特定一般教育訓練給付、一般教育訓練給付の3種類に分けられ、それぞれ対象となる講座や給付率、支給上限額が異なるため、受講前に自分の目的や条件に合った給付区分を確認することが重要です。
対象講座には、職業訓練校や通信講座、オンライン講座、民間スクールのプログラムなどが含まれ、ビジネススキルやIT資格取得、語学学習まで幅広く設定されています。受講者はハローワークで要件を確認し、申請手続きを行うことで、所定の給付を受けられます。
雇用保険のキャリア形成支援
教育訓練給付制度は、雇用保険の被保険者および一定の離職者を対象とし、受講費用の一部を給付することで労働者の職業能力向上や再就職支援を目的としています。財源は被保険者が納める保険料で賄われています。
給付対象者は、一般教育訓練給付の場合、原則として雇用保険被保険者期間が通算1年以上ある方です。専門実践教育訓練給付や特定一般教育訓練給付では、被保険者期間や雇用形態、前回受給からの経過期間など、さらに細かな要件が定められています。
給付を受けるには、受講開始前にハローワークで手続きを行い、修了後に支給申請をする必要があります。利用回数や再受給の可否は給付区分ごとに異なるため、早めに情報収集し、申請漏れのないよう注意しましょう。
教育訓練給付制度の種類と給付額を解説
教育訓練給付制度は、目的や支給要件に応じて専門実践教育訓練給付、特定一般教育訓練給付、一般教育訓練給付の3種類に分類されます。それぞれ支給率や上限額が異なるため、受講講座に合わせて確認が必要です。
専門実践教育訓練給付
専門実践教育訓練は、高度な専門知識や技能の習得を支援する制度。
教育訓練費用の50%(年間上限40万円)が訓練受講中6ヵ月ごとに支給されます。
特定一般教育訓練給付
特定一般教育訓練給付は、比較的短期間でのスキルアップを目的としています。
教育訓練経費の40%(上限20万円)が訓練終了後に支給される点が特徴です。
一般教育訓練給付
一般教育訓練給付は、その他の雇用の安定・住職の促進を目的としており、幅広い講座が利用可能。
教育訓練経費の20%(上限10万円)が訓練終了後に支給されます。
英語コーチングやオンライン英会話は、この一般教育訓練給付に指定されていることが多いため、次の章からもう少し掘り下げて解説していきます。
英語学習者向け教育訓練給付制度
雇用保険に加入している方が対象で、英語学習分野でキャリアアップを目指す際に受講費用の一部が支給される制度です。ビジネス英語や資格試験対策など多彩な講座が用意されており、働きながらスキル向上を図ることができます。
講座指定の対象となる資格・試験
英語学習分野では、主にTOEIC® L&Rテスト対策講座、実用英語技能検定(英検)対策講座、TOEFL® iBTテスト対策講座、IELTS対策講座などが指定されています。これらの資格・試験は国内外で認知度が高く、就職・転職や昇進の際に評価されるケースが多いのが特徴です。
一般教育訓練給付の対象講座一覧
代表的な対象講座の一例は以下のとおりです。
- 英語コーチング
-
- プログリット「TOEIC L&R Testコース(3ヵ月)」
- イングリッシュカンパニー「パーソナルトレーニングコース(90日間/180日間 集中プログラム)」
- ストレイル「TOEICⓇ L&R TESTコース」
- スパルタ英会話「TOEICコース(2ヵ月/3ヵ月/4ヶ月)」
- トライズ「TOEIC L&R Test対策プログラム(2ヵ月)」
- ライザップイングリッシュ「TOEIC スコアアップコース(24/32)」
通学型・オンライン型の両方があり、自分の学習スタイルやスケジュールに合わせて選択できます。
厚生労働省の検索システムで検索
厚生労働省が提供する教育訓練給付制度検索システムでは、地域や受講形態、科目名などの条件で対象講座を検索可能です。特に「英語」「オンライン」「短期集中」などのキーワードを入力すると、自分に合った講座を効率よく見つけることができます。
対象講座を選ぶ際の注意点
講座を選ぶ際は受講期間や開講スケジュール、修了要件の有無、実践的なカリキュラム内容を必ず確認しましょう。また、受講開始前に所属ハローワークで講座指定の手続きが完了していることを証明する「教育訓練給付金支給要件確認書」を受け取り、給付対象かどうかを事前に確認しておくことが重要です。
教育訓練給付制度の対象講座の申請方法
ハローワークでの支給申請手続きと必要書類
お住まいの地域を管轄するハローワークで教育訓練給付金の支給申請を行います。
2024年2月1日以降の支給申請については、電子、郵送または代理人による申請が可能に。申請方法は、以下の通りです。
受講中は特別な手続きは不要ですが、講座を修了した後、速やかにハローワークへ支給申請を行います。
必要な書類は以下の通りです。
- 修了証明書(講座提供事業者発行)
- 領収書の原本(受講料支払済みを証明するもの)
- 支給申請書(ハローワーク備え付け)
- 雇用保険被保険者証の写し
- 通帳またはキャッシュカードの写し
修了日の翌日から1ヶ月以内が申請期限です。この期間を過ぎると給付を受けられなくなるため、期限厳守で準備を進めましょう。
対象講座の申請における注意点
講座選び・申請時には以下のポイントに注意してください。
- 申請前に必ず講座が給付制度の対象であることを確認する
- 受講期間中に転居や雇用保険の状況が変わった場合、速やかにハローワークへ届け出る
- 書類は原本で提出し、必要に応じてコピーを保管する
- 申請内容に不備があると支給が遅れるため、記入漏れや添付漏れに気を付ける
以上の点を押さえたうえで手続きを進めることで、スムーズに教育訓練給付金を受給できます。
教育訓練給付制度|英語学習の対象講座まとめ
教育訓練給付制度の英語講座には、
- プログリットの「TOEIC L&R Testコース(3ヵ月)」
- TORAIZの「TOEIC L&R Test対策プログラム(2ヵ月)」
- イングリッシュカンパニーの「パーソナルトレーニングコース(90日間/180日間 集中プログラム)」
などが挙げられます。
いずれも一般教育訓練に指定され、要件を満たすことで受講料の20%(上限10万円)が支給されます。
「少しでも安く英語を身に付けたい!」と思っている方は、この機会に教育訓練給付制度の対象講座を受講してみてはいかがでしょうか。